
仮想通貨の確定申告、自分でやるのは難しいかな?
このような疑問を持った方に、図を多く使い、できるだけ簡単に「仮想通貨の税金の計算と確定申告のやり方」を伝えていきたいと思います。
※正式名称は「暗号資産」になりましたが、本記事では、すでに定着しており、未だ多く使われている「仮想通貨」という呼称を使います。
国税庁から入手する資料に限り「暗号資産」という呼称を使います。
こんにちは、Kです。
仮想通貨歴は2021年で5年目。税理士に依頼すると数十万円かかってしまう確定申告について、自身の過去の経験を元に、図などを使いながら簡単に説明していきたいと思います。

本記事がおすすめな方
・自分で仮想通貨の税金の計算をしたい
・仮想通貨の税制を知りたい
・税理士費用を抑えたい
※基礎知識はお持ちで、すぐに計算方法から始めたい方は、目次「仮想通貨の税金の計算」から読んでください。
目次
はじめに
まず、仮想通貨の確定申告についてですが、
①自分個人でやる
②税理士や業者に依頼する
の2つの方法があります。
それぞれのメリット・デメリットは
①自分でやる
【メリット】
税理士費用(数十万円が相場)がかからない
税金に詳しくなる
【デメリット】
初心者には少し難しい
時間がかかる
②税理士や業者に依頼する
【メリット】
時間がかからない
費用を経費にできる
【デメリット】
費用が高い
取引所の報告書を提出など、業者とのやり取りが必要
私は、税金に詳しくなりたかったため、自分でやりました。
時間がない方や、利益が大きく経費で落とせば半額くらいになる方は仮想通貨の確定申告が得意な業者に依頼するのもありかと思います。
以下にオススメの業者のリンクを貼っておきます。
・CRYPTACT(クリプタクト)
仮想通貨取引の損益計算をしてくれるサービスです。年間取引50件までなら登録さえすれば、無料で計算ができます。


・地域、条件から税理士を探したい方はこちら

仮想通貨の税制
ここでは、仮想通貨の税制について簡単に説明していきます。
※より詳しく知りたい方は国税庁のホームページへ
仮想通貨取引で確定申告が必要な方
(1)仮想通貨で利益が出た人
①仮想通貨を売却して利益が出た
②保有する仮想通貨を別の仮想通貨と交換して利益が出た
③購入した時より値上がりした仮想通貨で、物やサービスを購入した
④マイニングによる収益があった
⑤海外の取引所で取引を行った
(2)一定以上の利益がでた人
仮想通貨による利益(所得)が20万円を超える場合
簡単にまとめると、
「1年間に20万円以上となる利益を確定した人」は確定申告が必要となります。
仮想通貨の税制における注意点
※以下、2021年8月時点での税制です。
雑所得・総合課税
仮想通貨で得た利益は「雑所得」で「総合課税」となります。
確定申告書では「雑所得」の欄に記入し、給与所得などと合算したうえで税額を計算することになります。
どういうことか?
給与所得が680万円の場合、税率は下表から20%となるところ、仮想通貨取引で30万円の利益がある場合、合算して680+30=710万円が課税所得となるため、税率は23%に引きあがります。

株やFXは「分離課税」が適用され、利益額によらず20%となるところ、仮想通貨は上記のような「総合課税」となります。これが仮想通貨は税金が高いと言われている理由です。
他の所得と損益通算ができない
仮想通貨の損失は他の所得と相殺できません。
仮想通貨同士の損益通算はできますが、赤字(損失)を翌年に繰越できません。(不動産投資、株式投資などは3年間繰越可能)
簡単にいうと、利益があれば、その分税金払ってくださいね。損失なら、特に救済はしません、というルールです。
仮想通貨の税金の計算
ここからは図を使って、暗号資産(仮想通貨)の計算書を作成していきます。
準備するもの
準備するもの
・Microsoft Excelが使えるパソコン
・年間取引報告書
・暗号資産の計算書
年間取引報告書の取得方法
・コインチェックの場合
コインチェックのホームページへ移動 ⇒ ビットコイン購入なら仮想通貨取引所 | Coincheck(コインチェック)
①「ログイン」をクリックし、出てきたタブにある「取引アカウント」をクリック

②メールアドレス・パスワードを入力し、ログイン
※2段階認証をしている場合は、次の画面で6桁の数字を入力

③ログインが完了すれば、上図の画面に移動します。左側にある「人のマーク」をクリック

④「取引履歴」をクリック

⑤「業界標準フォーマットはこちら」をクリック

⑥上手の画面に移動するので、取引があった年をクリック
⑦始めてのクリックは帳票の作成、その後、「2017年 ダウンロード」と表示が変われば、ここから.zipファイルがダウンロードできます。

※取引が複数年にわたる場合は、全ての年の年間まとめ帳票(.zipファイル)をダウンロードしてください。
⑧ダウンロードしたzipファイルを開くとcsvファイルがあるので、それを開きます。

このファイルが開けばOKです。これが「年間取引報告書」です。
・Binance(バイナンス)の場合
Bitcoin Exchange | Cryptocurrency Exchange | Binance
①上記からバイナンスのホームページへ移動
②ページ右上の「注文」をクリック
③タブが出てくるので「現物注文」をクリック
④ページ左側にある「トレード履歴」をクリック
⑤「最近の取引履歴をエクスポート」をクリック
⑥期間を指定し、「出力」をクリック
※3ヶ月分ずつ、出力する必要有り
暗号資産の計算書の取得方法
国税庁が配布している「暗号資産の計算書」は、「移動平均法」と「総平均法」と2つのファイルがあります。
国税庁のホームページでは、「暗号資産交換業者から送付される年間取引報告書を利用して計算する場合には、総平均法用をご使用ください。」と指示があります。しかし。本記事では「移動平均法」「総平均法」の両方の説明をします。
下記にそれぞれの違いについて説明しておきます。
移動平均法と総平均法
移動平均法と総平均法の違いは、購入した仮想通貨の取得価額(単価)を計算するタイミングです。移動平均法は購入の都度取得価額を計算しますが、総平均法は基準期間の最後にまとめて取得価額を計算します。取得原価の計算方法について、前提仮想通貨の購入単価の計算に移動平均法を使用した場合と総平均法を使用した場合の計算結果は、単年度では異なるものの、将来にわたって生じる所得金額は一致します。
①国税庁のホームページへ移動 ⇒ 暗号資産に関する税務上の取扱い及び計算書について(令和3年6月)|国税庁 (nta.go.jp)

②上記から「暗号資産の計算書」をダウンロード
これで、準備するもの「年間取引報告書」と「暗号資産の計算書」が揃いました。
次から、計算書を作成して、納税額を確認していきます。
計算書(移動平均法)の作成
【大まかな流れ】
ビットコインやリップルなど、仮想通貨ごとに
・「年間取引報告書」から購入した「通貨量」「約定価格」を計算
・「年間取引報告書」から売却した「通貨量」「約定価格」を計算
暗号資産の計算書に
・前年以前の取引結果を「前年繰越」へ記入
・本年の取引を購入・売却に分けて記入
・計算書の自動計算で本年の売却益が分かる
【注意点】
・取引が本年だけの場合、計算書の「前年繰越」は記入しない
・購入が前年以前の場合、計算書の「前年繰越」にまとめて記入
それでは、移動平均法の暗号資産の計算書の作成を始めます。
2017年にビットコインを購入、2021年(※本年)にビットコインを購入および売却した場合を例に説明します
まずは、計算がしやすいようにエクセルファイルの機能を使い、「通貨ごと」「購入・売却ごと」に整理します。
①2017年の年間取引報告書のファイルを開き、Ctrl+Aで全選択、その後、フィルターボタンをクリック

②通貨ペアの右にある矢印をクリック、計算したい通貨の組み合わせを選択

③さらに取引種別の右の矢印をクリック、購入のみ選択

④年間(例:2017年)を通して購入した通貨の「増加数量」の合計「約定価格」の合計を計算
※売却の場合は「減少数量」と「約定価格」の合計を計算

ここまでで、2017年に「3.5ビットコイン」を「4,255,195円」で購入したのが、計算できました。
次に暗号資産の計算書のファイルに上記の計算結果を入力していきます。
⑤通貨名「ビットコイン」を入力
⑥「前年繰越」に上記計算結果を入力

次に2021年の年間取引報告書を開きます。
⑦先ほどの②③と同じ方法で、「取引種別」を購入・売却、「通貨ペア」をBTC/JPYを選択

暗号資産の計算書に⑦の数字を直接入力します。
⑧日付・取引先・摘要(購入か売却か)・数量・価額を入力
購入の場合
計算書の「購入等」の「数量」に年間取引報告書の「増加数量」を入力
計算書の「購入等」の「価額」に年間取引報告書の「約定価格」を入力
売却の場合
計算書の「売却等」の「数量」に年間取引報告書の「減少数量」を入力
計算書の「売却等」の「価額」に年間取引報告書の「約定価格」を入力

暗号資産の計算書の右下の「所得金額」の欄に今回の取引の「売買益」が計算されています。

この例では、「売買益」は5,644,805円となりました。
通貨ごとにこのように暗号資産の計算書を作成していきます。
たとえば、リップルでの売買益が3,000,000円、イーサリアムでの売買益がマイナス1,000,000円だった場合は、
5,644,805円 +3,000,000円-1,000,000円=7,644,805円
7,644,805円が本年の売却益、つまりは仮想通貨の雑所得となります。
ひとまず、これで移動平均法の暗号資産の計算書の作成は完了です。
計算書(総平均法)の作成
続いて、 総平均法の暗号資産の計算書の作成を始めます。
①~④の手順は「計算書(移動平均法)の作成」と同じなので、⑤から説明します。
⑤通貨名「ビットコイン」を入力
⑥「年始残高」に④の計算結果を入力
「数量」3.5,「金額」4,255,195

⑦はさきほどの移動平均法の時と同じです。

⑧取引所の名称・数量・金額を入力
購入の場合
計算書の「購入」の「数量」に年間取引報告書の「増加数量」を入力
計算書の「購入」の「金額」に年間取引報告書の「約定価格」を入力
売却の場合
計算書の「売却」の「数量」に年間取引報告書の「減少数量」を入力
計算書の「売却」の「金額」に年間取引報告書の「約定価格」を入力

暗号資産の計算書の右下の「所得金額」の欄に今回の取引の「売買益」が計算されています。

これで総平均法の暗号資産の計算書の作成は完了です。
今回の例では、ビットコインの残高がゼロになったため、売買益は移動平均法、総平均法ともに同じ金額でした。
残高を持ち越す場合は、金額が変わるので、興味がある方は計算書で色々試してみてください。
確定申告
仮想通貨の売買益の計算が終われば、あとは確定申告の際に、雑所得に組み入れるだけです。
確定申告の資料の作り方などは、「国税庁のホームページ」に詳しく載っているので、そちらを参考にしてください。
令和2年分の確定申告に関する手引き等|国税庁 (nta.go.jp)
上記のリンクから「所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き(確定申告書A用)」を読んでもらえば、分かると思います。最近はスマホで確定申告もできるみたいなので、興味がある方は調べてみてください。
まとめ
本記事では、仮想通貨の税金の計算の仕方を説明しました。
複数の取引所で送金している、売買の数が多い、などあれば、経費として、コインタックス株式会社など、仮想通貨に特化した税理士に頼むのもいい選択肢かとは思います。
自分で計算してみたい、という方は是非、本記事を参考にしてください。
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